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「マジックアウト」シリーズの作者、佐藤まどかさんインタビュー!

2012/07/27

 6月に「マジックアウト」シリーズの第2巻、『マジックアウト2 もうひとつの顔』が発売されました!
 だれしもが才術を持つ国で、その才術を持たずに生まれ、蔑まれて育ってきたひとりの少女アニアが、その知識と知恵で国の緊急事態=「マジックアウト」に立ち向かう、本格長編ファンタジーです。
 2巻刊行を記念しまして、作者の佐藤まどかさんにお話を伺いました!

 佐藤まどかさんは、実はプロダクトデザイナーという「もうひとつの顔」をお持ちで、イタリアでご活躍されています。ご自宅や町の写真もたくさん送っていただきました。うっとりするような素敵な写真ばかり! 合わせてお楽しみください!

 

◆「マジックアウト」シリーズを書こうと思ったきっかけを教えてください。

———SFやファンタジー小説は好きですが、現実では、魔法でちちんぷいと何でも解決できません。それで、自分でコツコツと解決していくしかない異色のファンタジーを書きたいと思いました。またヒーロー的ではなく、何のとりえもないと自分もまわりも思っている子を主人公にしたいと思いました。それで、魔法の国から魔法がなくなったら? という設定にしました。

 

◆好きなシーン、気に入っているシーンはどこですか?

———気に入っているというより、とくに印象に残っているのは、ゾラ(主人公アニアが飼っている犬)が殺されるシーン。動物好きなので、犯人たちを本当に憎いと思いながら書きました。ただし集団の心理とは恐ろしいもので、実際にこういうことはあり得ます。皆で一致団結して困難に立ち向かうということと、集団で動き自分の良心や責任を忘れてしまうということはちがう、ということを表現するための、ひとつのエピソードでもあります。
 あと、景色のシーンは、実際に目の前(瞼の中ですが)に見えているものを書いていきます。たとえば第2巻で、アニアが甲板で冷たい風を受けながらうっすらと見える大陸を見つめるシーンは、船旅をした時のことを思い出しながら書きました。これから何かが始まる予感のする場面が好きです。

 

◆2巻ではアニアが異国へ渡りますが、佐藤まどかさん自身がイタリアへ渡って、日本との違いにびっくりしたり、困ったりしたことはありましたか?

———たくさんあって書ききれないくらいです(笑)。たとえば、25年前に移住した時は、まず言葉の壁に遭遇しました。イタリア語の標準語を勉強していきましたが、最初はミラノの北郊外30キロくらいのところに滞在しており、その距離でもすでに方言があったため、相手の言葉が聞き取れず困りました。あと当時びっくりしたのは、東京と比べてネオンがなくて夜が暗い、コンビニがない、炊飯器がない、大好きなドリップコーヒーがない、食材がちがうなど。
 でもうら返して考えれば、それらはすべて新しいことの発見でもありました。夜暗いと星が良く見えます。コンビニがないから無駄使いをしないし、前の日によく考えて買い物をするようになります。食材がちがうのは、新しい味の発見になります。炊飯器がないので鍋で炊いたらご飯がより美味しいことを知りました。エスプレッソカフェが美味しくて、ドリップコーヒーがなくても困らないようになりました。
 長所と短所って本当に背中合わせなんですよね。あと、不便さに慣れてしまうと、どうということはないです。工夫もするようになるし。便利すぎる世の中にどっぷり浸かっているのも、考えものかも。

佐藤まどかさんは現在、イタリア中部の都市シエナの丘陵地帯にお住まいです。
こちらは、ご自宅の窓からの眺め!
「コンビニもネオンもなにもなし。夜は静かすぎて怖いくらい。でも朝焼け、夕焼け、蛍、星空を満喫できます」
とのこと。うらやましい!

 

 

こちらも同じく、ご自宅の窓からの眺め。真冬の朝焼けだそうです。
早朝には、丘一帯に雲海が広がることもよくあるそう。なんて幻想的!

 

 

 

 

シエナのカンポ広場のガイア噴水。
「イタリアはこういう歴史的な建造物が生活の中で当たり前になっている国です。中世のまま残っている町を毎日歩き、そのすぐそばの大自然の中で目を覚ます暮らしと、ピカピカの現代的な都会暮らしとでは、確実に精神構造がちがってきます」

 

 

 

◆いつもどんなところでアイデアを考えたり、原稿を書いていますか?

———多分24時間寝ても覚めても頭のどこかで案を練っています。実際、寝入る寸前に浮かぶこともあります。一番多いのは、移動中でしょうか。長距離電車の中や飛行機の中など。車を運転しているときにもネーミングやタイトルなどが浮かぶことがあるのですが、メモをとることができないので、困ります。飛行場や待合室などで、「なにかを待つ」ときも、プロットを考えていたりします。
 執筆は、アイディアやプロットは手書きで、物語を書きはじめるときはPCのノートブックを使います。自宅にある仕事部屋だと相棒もいるし電話もよく鳴るので集中できないため、よく市の図書館に行きます。ノートブックを持ち込めば、電源も貸してくれるし、ネットも使えるし、資料もたくさんあるし、大変静かなので、集中できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

Biblioteca di Siena

こちらがシエナの図書館。中世と近代の雰囲気が調和している素敵な図書館ですね。中世の本もたくさんあるそうです。

こちらは、ご自宅の仕事机。
「いつもはもっと散らかっていて、本や資料が山積みになっています」とのことですが、さすがデザイナーの顔も持つ佐藤まどかさん、おしゃれです!

 

 

 

 

◆読者のみなさんにひと言おねがいします!

———夢を持って、それを実現させるために、コツコツあきらめないでがんばってください。持続力こそ、大きな力です。ノーベル医学生理学賞受賞者のリータ・レーヴィ=モンタルチーニ女史が、100歳で「私の将来の夢は」と将来やりたい実験の夢を語っているのを聞いて、元気が出ました。好奇心、探究心、持続力があれば、きっと夢は叶います!

佐藤まどかさんより、直筆メッセージ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤まどかさん、ありがとうございました!

ため息のでるような美しい写真の数々に、「マジックアウト」の世界を垣間見たような気がしました。
みなさんもぜひ、本を手にとって「マジックアウト」の世界を覗いてみてくださいね。

(編集部K・S)

 

『マジックアウト1 アニアの方法』

 

 

 

 

 

 

 

 

『マジックアウト2 もうひとつの顔』

 

 

 

 

 

 

 

 

編集部ピックアップ! vol.6 『マジックアウト2 もうひとつの顔』