保育者様へ

フレーベル館のココだけの話

 

HOIKUのYOU歩道 第3回 無藤 隆先生のあんなこと こんなこと

2012/12/25

第3回目は、白梅学園大学教授の無藤 隆(むとう たかし)先生にご登場願いました。
無藤先生の“保育の遊歩道”には、どんな発見があるのでしょう?
あなたの保育を楽しむために、ご一緒に歩いてみませんか?
“遊歩・優歩・YOU歩”…あなたにとっての道の向こうには、何が見えますか?

無藤 隆先生の「はじめまして物語」
私のプロフィール

1946年、東京に生まれました。山手線の内側です。親は地方出ですから、江戸っ子とは言えませんが、都会の中で育ちました。

大学(東京大学教育学部)では「教育心理学」を専攻し、大学院でも心理学を学んでいたわけですが、次第に幼児期の問題に焦点を合わせるようになり、幼稚園や保育園などに観察に行く中で、保育そのものを対象として考えるようになっていきました。

今はむしろ、保育・幼児教育が専門の中心です。最近は会合が増えて、思うに任せられませんが、ある時期まではかなり幼稚園・保育園や時に小学校などに赴き、現場の先生方と一緒に、“保育・教育をどうすればよりよいものにできるか”について考える作業をしていました。

どちらかと言えば今は、それらをいかにして国や自治体の施策に移すかに仕事のメインが移ってきています。

私の楽しみ…

毎日、何かと忙しく立ち働いていますが、何によらず文章を書くのは好きです。自分の考えが整理されるのがよいのです。

本をよく読みます。新書ものが多いでしょうか。小説はあまり読まないのですが、詩集は若い頃から好きでした。

よく歩きます。通勤とか出張の途中が多いのですが、勤務先の白梅学園大学から駅までとか、都内の用がある場所から駅までとか。そういう時には、余分に歩くのですね。歩いていると、季節の変化が感じられます。日が短くなり、また長くなり、桜が咲き、金木犀が香り…、よそのお宅の庭の変化を眺めて楽しんでいます。

出会った人たち

大学の先生方からは、もちろん多くを学びました。その上で、全国の様々な現場に行き、一緒に考えさせてもらえた先生方から学んだり、現場で保育・教育とは何かを実感として理解できた気がします。

お茶の水女子大学に勤務していた頃は、お茶の水女子大学附属幼稚園や小学校には多くの回数、よく観察に通いました。

東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎には10か月間、週に1日2日程度通い、特に先生方の勉強の場にも混ぜていただくなど、ありがたい機会を得ました。

ほかにも、多くの公立幼稚園で助言役をさせていただきました。

一番懐かしいのは、もう廃園になってしまいましたが、文京第二幼稚園という本郷にあった幼稚園です。子どもが10人もいませんでしたが、今でも子どもたちの姿を思い出します。

また、都内の某私立幼稚園にも年に3回程度ですが、20年来通って、一緒に園内研究会をしています。

キンダーブックとの出合い…

実は、和田実先生(明治の終わりから大正の初めにかけて、東京女子高等師範学校助教授として倉橋惣三先生の前に活動された幼児教育者)が創立した目白幼稚園に通い、和田先生の最後の園児でした。その幼稚園での思い出の一つはキンダーブックです。

今から20数年前(昭和63年)から、そのキンダーブックの編集委員の一人として参加することとなり、現在に至っています。

最初は絵本作りについては何もわかっていませんでしたが、次第に、“絵本を作って現場に届ける側の視点”にも関心をもつようになりました。また、全国の幼稚園・保育園などの現場を回る中で、いわゆる読み書き・算数の基礎を幼児期に育てることも大事だと考えるようになりました。キンダーブックの『がくしゅうおおぞら』には、担当編集委員としてもかなり関与しています。

こういった保育絵本は、いわゆる一般の絵本とは異なる、雑誌の要素がたくさんあります。毎月新たな内容に触れつつ、生活の様々な面のかかわりのある内容に触れているので、保育に活かせる内容が豊富です。それは特に、初心の保育者には保育を活性化させる大事な手段にもなるでしょう。

→『キンダーブック』の詳細

保育者への期待…

保育は、専門性のある仕事です。保育の養成校を出て、免許資格を取り、それですぐに一人前ではありません。さらなる現場での保育を通して、一人前の保育者になっていくものです。その時、研修や本や専門雑誌による勉学は欠かせません。“知識があって保育する技術は、現場に生きた力”になります。

特にこれからは、日本中で保育の大きな改革が進んでいきます。自分が置かれている場自体が変わっていくのです。制度や環境がいきなり変わって驚くのではなく、前もって勉強し、今後の方向をつかんで余裕をもって保育に邁進してください。

進歩なく停滞した時に、専門性は下落していきます。少しでもスキルを上げていこうとする姿勢から、水準を保てるのです。もっと高めていくなら、保育図書や保育雑誌などで情報を得たり、研修などでしっかりと学ぶ必要があるのです。

フレーベル館より、園長・主任などの保育のリーダー層を対象とした、月刊保育雑誌『保育ナビ』(2010年4月号~)が刊行されました。その特集企画や連載記事などにも協力しています。この『保育ナビ』は、その都度の時事的トピックと保育のリーダーとして知っておくべきことに焦点を当てた、特色ある内容の保育雑誌です。

今のように激しく時代が変化していく中で、保育の動向の流れとそこでの保育への問いかけを知ることは、これからの園運営を知る上で不可欠のこととなります。

→『保育ナビ』の詳細

<編集部より>

無藤 隆先生  あ・ら・か・る・と

以前、『がくしゅうおおぞら』を担当していた頃ですから十数年前になりますが、企画の打ち合わせで、お茶の水女子大学の無藤研究室に通いました。月刊保育絵本のため、ほとんど毎月のように、無藤先生にお会いしていました。特に、「おはなしコーナー」には貴重なご意見をいただきましたが、どのテーマにも、最後には必ず誰もがHappyになる内容を重視されていました。

いつもご多忙であることは、白梅学園大学の現在も変わりませんが、変わらないと言えば、不思議と無藤先生の印象も変わっていませんね。

クルリンとした眼差し、ウェーブのかかった髪型、よく食べ、よく飲み…?

あのいつも背負っていらっしゃる大きなリュックの中には、先生の愛する蔵書がたくさん帯同しているのでしょうか?

2012.December(Chiyo)

無藤 隆先生の著書から

→書籍詳細

『保育の学校 全3巻』

無藤 隆/著 各1,300円(本体価格)

フレーベル館より『保育の学校 (全3巻)』が出版されました。この書籍は、講義記録を元に大幅に加筆修正して刊行したものです。大学の養成課程のテキストというより、現場の保育者の勉強の参考となるようにまとめました。

それまでは、教科書的なものは大学生向けに作っていたのですが、現場の保育者にこそ勉強用の資料が必要だと思います。幼稚園教育要領や保育所保育指針、または5領域、さらに新たな課題などについて、保育での様子はある程度わかりつつも、“きちんと理解して学ぶ機会”は、案外少ないものですね。

そこで、保育者出身で現在は専門学校で教えている和田美香さんの協力を得て、現場の先生方にもわかりやすい内容に構成していただきました。要約や練習問題も入り、使いやすくなっています。

さらに、紙媒体以外にも『保育の学校』の電子書籍版も出版されました。若い保育者や学生の方々には、スマートフォンやiPadなどのほうが携帯に便利で読みやすいという人も増えてきました。

電子書籍版では、『保育の学校(全3巻)』のほかに、「10分間トレーニング 保育の学校 全16巻」という内容で章ごとにもまとめてありますので、勉強会のテキストなどとしても、その都度、関係箇所だけでも使えますのでお役立てください。

『保育の学校』紹介動画  http://www.youtube.com/watch?v=-7UCtRzesak

『保育の学校』の あんなこと こんなこと

☆より理解を深めるために

『保育の学校』の内容は、各種の講習会や大学院の授業などで話してきたことに基づいています。いろいろな質問をその都度受けて、「なるほど、こういった点が理解されにくいのか…」とわかりました。

特に、幼稚園教育要領と保育所保育指針の改訂に際して、全国のいろいろな幼稚園・保育園などの先生方に解説をしました。その時に、それらの法令的位置づけとか、中身の構造などにも触れておかないといけないのだと気づきました。

☆ 実践の検討&研究の進展を踏まえて

いろいろな園の実践も踏まえています。克明な例を出していませんが、私がかかわってきた全国の国公私立の幼稚園・保育園などの実践とその検討から、述べるべきことを考えています。

同時に、研究の進展を踏まえて、その解説もなるべくわかりやすく取り入れました。

☆ 聴講者の様子を思い浮かべて

もし、この本が多少ともわかりやすく読めるようであれば、それは、私の講義や講演に参加して頂いた方々の御蔭です。そういった方の顔やうなずく様子、時に首をかしげるところを思い浮かべて、書き進めた文章だからです。

電子書籍 好評発売中!

『保育の学校 全3巻』

無藤 隆/著 各910円(本体価格)

『10分間トレーニング 保育の学校 全16巻』

無藤 隆/著 各240円(本体価格)

『知的好奇心を育てる保育』

無藤 隆/著 840円(本体価格)

<編集部より>

著書のおすすめPOINT

保育現場で役に立つ保育図書として、基本的な知識についての視点を、よりわかりやすく解いた『保育の学校』。読者のニーズに合わせ、保育図書と電子書籍として出版しました。

保育の理論を現場の保育に活かせるような橋渡しになる書籍として、ぜひ、ご活用ください。

2012.December(Chiyo)