保育者様へ

フレーベル館のココだけの話

 

HOIKUのYOU歩道 第19回 山本省三先生のあんなこと こんなこと

2015/07/31

第19回目は、絵本作家・児童文学作家の山本省三(やまもと しょうぞう)先生にご登場願いました。
山本先生の“保育の遊歩道”には、どんな発見があるのでしょう?
あなたの保育を楽しむために、ご一緒に歩いてみませんか?
“遊歩・優歩・YOU歩”…あなたにとっての道の向こうには、何が見えますか?

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山本省三先生の「はじめまして物語」
私のプロフィール

1952年、神奈川県横須賀市生まれです。気丈な姉と妹にはさまれていたためか、おとなしく絵を描くのが好きな子どもでした。ただ、おばあちゃん子だったため、出たがりの祖母に連れられて一緒にラジオの公開番組に引っ張り出されたこと(幼稚園の頃に二度も!)がありました。おとなしい割には、なぜか不思議と緊張しなかったのを覚えています。

その後、地元の小学校、中学校、高校を出て、横浜国立大学で教育心理学を学びました。心理学を選んだのは、コピーライターに憧れていて、他人の心を研究すれば、広告づくりに役立つと思ったのです。

大学卒業後、希望通りにコピーライターの職に就きましたが、なぜか興味はコピーより、イラストレーションに移りました。たまたま会社の帰りに通った絵のスクール(夜間講座)の講師に外国の絵本をたくさん見せてもらい、その素晴らしさに衝撃を受けたからです。直後、偶然にもそのスクールで絵本講座が開講したのです!

さっそく受講すると、講師は『チロヌップのきつね』(きんのほしストーリー絵本 1972)などの絵本作家・故高橋宏幸先生でした。高橋先生には“絵本のいろは”から指導を受け、出版界へのデビューにも手助けしていただいて、今に至るというわけです。

欲張りな性格?

絵が描きたくて飛び込んだこの世界ですが、売り込みのために出版社を回るうち、「前職がコピーライターなら、お話づくりも手掛けては」と言われ、だんだんと文章の仕事が増えていきました。高橋先生が絵と文(作絵)の両方を手掛けていたので、それを見習ったこともあります。

もともと映画も好きで、学生時代は年間100本以上も観ていたので、絵本や童話のストーリーづくりには、この経験が活きました。自分の好きな映画のどこがおもしろいのかを分析して、そのエッセンスを創作に盛り込みました。

高橋先生の教えは、「できないと言うな!」です。それで、何でもチャレンジしているうちに、ジャンルはどんどん広がり、赤ちゃん絵本の原作から科学読み物(小学高学年向き)、紙芝居、絵本の仕掛けやゲームやクイズの考案、造形指導、人形製作、劇の脚本など、子どもにかかわることなら全て手掛けるという感じになってしまいました。もしかしたら、“欲張りな性格?”なのかもしれませんね。

そうそう、一度、僕の一面しか知らない編集者に、「この絵本、山本さんと同姓同名ですけど、違う人ですよね」と言われたこともありますよ(笑)。

趣味は身を助ける、太らせる?

小学生の頃は学校給食が苦手で、給食を食べずに腹ペコで帰ると、母親によく言われました。「給食費を払っているんだから、もったいない。もう、何も作ってあげませんよ。食べたければ、冷蔵庫の余り物を使って自分で何とかしなさい!」。

そこで料理に目覚め、大人になってからも家族の三度の食事はもちろん、二人の娘の弁当も毎日作りました。ほかに、年末の恒例となっているクラスメイトが経営する鮨屋で開く高校の同窓会でも、寿司だけでは飽きるので、30人前の数種類の自作の料理を提供し続けています。

子どもは食べ物の話が大好きなので、童話や絵本の執筆に料理や食材の知識は大いに役に立ちました(そういえば、このYOU歩道担当のSさんと、ぐっと親しくなれたのも料理が元でした。それは後のところで詳しくふれましょう)。

ただし、この仕事を始めてから体重が20kg近くも増えてしまったのは想定外でした。そこで、数年前に一念発起して食事のメニュー見直しと散歩で、15kg減量できました。

料理を作ったり、また題材にしたりしてきましたが、やはり子どもたちと「おいしい!」を共有することって、子育てや保育では、とても大切なことだと思っています。

フレーベル館との出合い…

もう15年以上前になるでしょうか。先ほどの編集担当のSさんから、当時の月刊保育雑誌『保育専科』(『保育ナビ』の前身)でシアターの構成を依頼されたのが、フレーベル館との出合いでした。

初対面のSさんは、ちょうどその時、初めてのイタリア旅行から帰ってきたばかり。そこで、「イタリアで食べたのは、何?」と聞いたら、なぜかSさんは「ナポリタン!」と即答。そんなこんなで、カメラマンのO氏を交え「ナポリタンは、イタリアにあるのかないのか?」で大盛り上がり。疑問に思って家に帰ってから調べてみると、「ナポリタンは日本生まれ」ということがわかり、翌日、SさんにFAXを送りつけたのです!

その頃は、ナポリタンが日本生まれということが、まだ浸透していなかったのですね。

そんな話題から意気投合(?)し、Sさんの異動先の担当誌・月刊保育絵本『がくしゅうおおぞら』でも一緒に仕事をするようになりました。主に、数と言葉のページの構成案でした。この『がくしゅうおおぞら』では、Sさんがまた他誌に移っても、長年、プランナーとしてかかわりました。それが今、シリーズで出していただいている『ゆうれいたんてい ドロヒュー』に繋がったのですから、不思議な縁です…。

後に『がくしゅうおおぞら』を担当されたHさんが、児童書に異動した時に、「数と言葉がテーマの童話を出しませんか」と声を掛けてくれたのです。

また、Sさんが担当した『キンダーブック じゅにあ』では、布を使った制作物にもチャレンジ! “欲張りな性格?”は、どんどん発揮されました。

さらに、ここでは、このYOU歩道でその経緯までも紹介するという運命(?)。もしかして、フレーベル館とは赤い糸ならぬ、“スパゲッティナポリタン”で結ばれていたのかもしれませんね。

仲間と活動

高橋先生の講座で出会った仲間とは、もう30年以上の付き合いで、毎年、僕の所属する日本児童文芸家協会の知り合いの作家と合同で絵本の展覧会を開いています。そこには、仕事を続けるうちに出会った若手の絵本画家たちも参加していますが、彼らとは、保育の現場で活用できる造形づくりなども手掛けています。

また、園や児童館から依頼があると、年に1~2回、マペットや動くペープサートなどを作って画家や作家仲間と汗だくで上演(僕の絵本が原作となっているオペレッタ)しています。

さらに、保育者向けには、今まで考案した動くペープサートや簡単な飛び出す絵本の仕掛けなどのワークショップや絵本のお話などをテーマに講習会を行うなど、時間の許す限りお引き受けしています。日々子どもたちにふれている現場の方々のご意見を直接いただけるので、とても創作の刺激になるのです。

「おいしい!」もそうですが、これからも読者の方々と「おもしろい!」を共有するために創作を続けるつもりです!

保育の現場を知ってからの作品づくり

保育に活かすシアターづくりの仕事を引き受け始めた頃は、保育の現場については、まったく知識のない状態でした。

しかし、造形が得意な保育者と定期的に勉強会を開く機会があり、その時に現場の要望や悩みを直接聞くことができました。

保育現場は日々とにかく忙しく、できれば、それほど手間がかからず、内容はもちろん子どもの興味を引き、さらに見た目も喜んでもらえるものが求められていることがわかりました。そこでそれからは、手軽だけどおもしろく見栄えのする作品づくりを1つの軸としてプランを出すように心掛けてきました。

フレーベル館では、月刊保育雑誌や月刊保育絵本などのほかにも、アンパンマンをはじめとした教材の紙芝居やエプロンシアター、フレーベル館のオリジナルキンダーパネルシアター「ねこざかな」のキットなども手掛けました。

エプロンシアターでは、素材のエプロンや人形の見本を作らなくてはならないのです。僕は大学時代、母や姉が洋裁をしているのを見てチャレンジ、自分でワイシャツやブレザーまで縫いあげていました。その経験が、大いに役立っています。

これらの脚本はなるべく流れを単純にして覚えやすく、しかもおもしろいものになるように気を使いました。おかげさまで、いずれも大ヒットしています。

自分でもこのエプロンシアターを自作の絵本の読み語りの機会などにプログラムに組み込んで上演していますが、想定外のところで受けるなど、いまだに新発見があり、シアターの奥深さに気づかされています。

編集部より

山本省三先生 あ・ら・か・る・と

前述のエピソードにあるように、初対面からインパクトがあった山本先生。ちょうど、初めてのヨーロッパ旅行から帰ってきたばかりの私は、「イタリアで何を食べたのか?」と聞かれても料理が思い浮かばず、テキトーに「ナポリタン!」と即答。さすがに、翌日のFAX攻撃には…でしたが、今も変わらず互いへの攻略戦(?)は続いています。

ナポリタンからの出会い。人との繋がりとその広がりは、とても貴重で楽しいですね。

保育絵本のプランをヒントに生み出されたという『ゆうれいたんてい ドロヒュー』シリーズ。保育が幼児期で終わることなく、児童期、そして大人になってからも継続されていくこと。それが、山本先生の保育で得た生きた実践が著書に織り込まれているからだと改めて感じました。

2015.August(C.S.)

山本省三先生の著書から

山本先生の著書好評発売中!

謎の著者「チームYamy」

展覧会で知り合った若手イラストレーターたちの中には、おもしろい立体を作るメンバーが何人かいました。これらが何か仕事に結びつかないだろうかと考えていた時、Sさんから、アンパンマンを題材とした手づくりのおもちゃのアイデアを求められたのです。そのことをメンバーに話すと、たちまち独創性に満ちたサンプルが集まること、集まること…。

それらを提案したところ、『アンパンマンといっしょ① わくわく☆おもちゃ』に参加することになりました。若いメンバーたちのユニークな作品は、手づくりのアンパンマン・ワールドをより楽しく広げてくれました。

共著の謎の著者「チームYamy」は、「チーム山本」の意味で「YAMA」を変化させた名前です。

ドロヒューの名前の秘密

現在9巻まで出版されている「ゆうれいたんてい ドロヒュー」のシリーズ。その主人公の名前の由来は、古典芸能で幽霊の出てくる時のお囃子「ヒュー、ドロドロドロ」にあやかったというのが表向きの理由です。

しかし実は、もう1つちなんだものがあります。今やご存じの方も少ないかもしれませんが、1950年代の終わりから60年の初めにかけて、『避暑地の出来事』『恋愛専科』などの映画に主演し、日本でも人気のあったハリウッドの青春スター「トロイ・ドナヒュー(1936- 2001年)」の「ナ」を「ロ」に替えて拝借したのです。『避暑地の出来事』の主題歌『夏の日の恋』は今でもテレビやラジオから流れてきますが、これが初めて自分で買ったレコード(古い!)だったのです。

「ドナヒュー」は、その後ヒットに恵まれず、銀幕から姿を消してしまいましたが、この「ドロヒュー」には何とか頑張ってもらい、子どもたちにずっと愛されて欲しいと思っています。

保育の思い出 あんなこと こんなこと ・・・

☆我が子と保育に接して

我が家の周辺には、同年代の子どもが少ないので、長女を園に通わせる時には、思いきり元気に遊んで欲しくて、家からバスで30分ほどの海辺にある自然遊びを主体とする保育園を選びましたが、通い始めたとたんに熱を出し、その繰り返し…。かなり心配しましたが、それが免疫となったのか、今や病気など寄せつけない見事にたくましい(?)成人女性に成長しました。

☆みんな主役だよ!

出たがりの祖母の影響か、劇なら主役を演じたいタイプでした。しかし、それをはっきり言える性格ではなかったので、劇の主役は目立つ子にさらわれ、悔しい思いを何度かしました。

そこで、劇の脚本を頼まれた時、まっ先に考えたのは、「みんなが主役になれるストーリーにする」こと。悪戦苦闘して仕上げましたが、これも評判が良かったです。僕のような子どもはたくさんいるのですね。

→ 「編集部ピックアップ」 でも、山本先生の著書を詳しく紹介しています

編集部より

著書のおすすめPOINT

『手づくりアンパンマンといっしょ① わくわく☆おもちゃ』では、子どもたちに人気のアンパンマンシリーズの手づくりおもちゃを紹介しています。いろいろなおもちゃを収録するにあたり、制作者も多数参加していただきました。山本先生率いる「チームYamy」では、若い制作者のデビューともなり、フレッシュなアイデアが満載です。

『ゆうれいたんてい ドロヒュー』は、読み語りをするなどで、保育にも活用できます。日々の保育の新たなエネル源としてお役立てください。

2015. August(C.S.)

著者紹介

山本省三 やまもとしょうぞう

横浜国立大学卒業

コピーライターから絵本、童話の世界へ転身。月刊保育絵本では、国語、算数の基礎の考え方を身につける、ことば遊びや数をつかったパズル遊びなどのお話を数多く手がける。創作の作品だけではなく、丁寧な取材をもとにつづるノンフィクションまで幅広く活躍。日本児童文芸家協会理事。

[ホームページ]http://yamamotoshozo.jp/

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