保育者様へ

フレーベル館のココだけの話

 

HOIKUのYOU歩道 第13回 中谷真弓先生のあんなこと こんなこと

2014/08/22

第13回目は、乳幼児教育研究所の中谷真弓(なかたにまゆみ)先生にご登場願いました。
中谷先生の“保育の遊歩道”には、どんな発見があるのでしょう?
あなたの保育を楽しむために、ご一緒に歩いてみませんか?
“遊歩・優歩・YOU歩”…あなたにとっての道の向こうには、何が見えますか?

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中谷真弓先生の「はじめまして物語」
私のプロフィール

私が、子ども時代を過ごしたのは、東京の駒沢公園の近くでした。

今は芸能人なども住むような地域ですが、当時は、畑や原っぱのある新興住宅地。近所の子どもたちも年齢が近く、外遊びは、缶けり、縄跳び、鬼ごっこなどでよく遊んだものです。

私は、三人姉妹の長女です。そのせいもあり、小さい頃から妹たちとは人形遊びをしました。古い人形の手足が取れたりすると、幼い妹がすぐに泣くので、私が針と糸で修理してあげていました。たぶん、そのあたりから人形を作ることに興味がわいたのでしょう。それが、布おもちゃを作るきっかけになったのだと思います。

三人姉妹

子どもの頃は、戦後間もないこともあり、まだ生活が豊かでない時代でしたから、おもちゃや遊び道具もあまりありませんでした。そのため、姉妹でよくごっこ遊びをしていたものです。そのように、姉妹で“共通のおはなしの世界”で遊んだ経験が、現在のそれぞれの仕事の、おはなしや遊びを考える基盤になったのかなと思っています。

三人とも結婚してからは、各地に散らばって生活をしていました。ところが、思いがけず、また三人が近くに住むようになって、子どもの頃のように一緒に仕事をするようになったのです。

すぐ下の妹の阿部直美は絵本作家で、手遊びやオペレッタの作詞作曲を手がけ、一番下の妹の浅野ななみは、乳児の絵本や遊びを研究しています。

私のメインでもあるエプロンシアター関連の仕事にとって、二人の妹たちの協力も、欠かせない強力な後押しになっているのです。

演じること・声を磨くこと…

私は、好きだった布おもちゃ作りやエプロンシアターが仕事になってしまいました。そのため、趣味で人形を作ることがなくなってしまったのです。もちろん、またいつか、趣味として戻ることもあるかもしれませんが…。

もう1つ、これは趣味と言えるかどうかわかりませんが、声楽を勉強しています。以前から、歌が好きでしたが、エプロンシアターのおかげで、講習会で話をしたり、手遊びの指導をしたりするうえで、声を磨くことの必要性を感じたからです。歌が好きで、声が出ればすぐに上手になると思ったら、そうはうまくいきませんでした。

学ぶほどに深くなり、なんて難しいことに踏み込んでしまったものだと、今更ながら後悔(?)しているのですが、どんどんどんどんハマっていく自分がいます。声を磨くということは、奥が深くて簡単には手に入らないとわかったから、今も続いているのかもしれません。

エプロンシアター®の誕生

エプロンシアターは、1979(昭和54)年に保育雑誌の布おもちゃのページに初めて掲載されました。

広く世の中に出た最初だったので、私はこれを「エプロンシアターの誕生」としています。

その中で、妹の直美が布おもちゃのページを担当していて、私も作品を提供していました。当時は、市販の布のおもちゃといえば人形やぬいぐるみ以外にはほとんどありませんでした。年少児は柔らかい感触を好むので、身近な布素材で簡単に作れたら、もっと子どもたちの近くに布おもちゃが増えると思いました。そこで、すでにある形をそのまま使って布おもちゃを作ることを考えたのです。手袋や靴下を切らずになるべくそのまま使えば、縫う部分が少なくなります。フェルト地のような切りっぱなしでほつれない布なら、その上に縫い留めたり、貼り付けたりして簡単に作れます。

そのほかの市販で手に入りやすい材料として、エプロンを使うことも考えました。初めはポケットから人形を出しておはなしをすることくらいでしたが、次第に背景があった方がよりおははしのイメージが広がるし、いくつも人形が登場すると人形をエプロンに張り付けられたら演じやすいなどと、どんどんイメージが広がっていきました。

手軽に着脱できる面ファスナー(マジックテープ®)が、新しい素材として広まってきた時期であったことも、エプロンシアターにはとても良いタイミングでした。

こうしてエプロンシアターが広まってきた時、いくら私が考案者だといっても、商標を誰かが先に登録してしまったら、その名称を私が使えなくなるということを知りました。そこで、「エプロンシアター」という名称を私が使うことができるように、商標登録(エプロンシアターの後ろのRのマーク)をしたのです。

フレーベル館との出合い

エプロンシアターがようやく保育現場に知られるようになってきた頃、エプロンシアターの本の最初の1冊がS社から出版されましたが、その後しばらくは新しい本は出版されませんでした。

ようやく出版できた2冊目が、フレーベル館の保育図書『イメージを豊かにするエプロンシアター』(1989年初版発行)です。

それは、まだエプロンシアターがそれほど広まっていなかった頃だったと思います。

フレーベル館では、妹の直美が遊びの本を出版することになり、編集の方と打ち合わせの時、たぶん雑談の中で「姉がエプロンシアターをやっていて…」と話が出たことがきっかけとなったように覚えています。

フレーベル館の編集の方だけでなく、営業部やその他の部署の方々も「『エプロンシアター』という新しい分野が保育に広がりをもたせる保育教材になる。全面的に後押しします」とおっしゃってくださったことがとてもありがたく、嬉しく思ったことは今でも忘れられません。

教材としてのエプロンシアター®の誕生

その後、フレーベル館から、『イメージを豊かにするエプロンシアター』の作品を保育教材として商品化しようという企画をいただきました。会社として今まで作ったことがない作品を商品として販売するとなると書籍とは異なる流れもあるので、担当してくださったY氏も大変だったと思います。それでも、「保育現場にすぐに役立つエプロンシアターを作るしかないのです!」と、Y氏がおっしゃってくださったことが印象的でした。

とにかく、企画を進めていく方向で、Y氏が押したり引いたりしてくださって、どうにか頑張って商品化に漕ぎつけました。実績ができると、次の作品の商品化はずっと楽になりました。


フレーベル館のホームページ【フレーベル館のエプロンシアター】

アンパンマンのエプロンシアター®

エプロンシアターが保育教材のセットとして何作品か商品化された頃、また、フレーベル館より「アンパンマンのエプロンシアターを作りませんか?」と、新しい企画をいただきました。

アンパンマンは、やなせたかし先生の大事な、そして有名なキャラクターなので、そのイラストを忠実に表現できるかどうかが心配でした。何よりもアンパンマンのファンの方々が「これは違う」とか「イメージが壊された」などということだけは、決してあってはならないと思い、縫製会社との打ち合わせなどは、編集者とともに慎重に制作しました。

できあがったアンパンマンとジャムおじさんは、予想以上に現場に好意的に受け入れられ、「アンパンマンの楽しさが倍になった」「エプロンから飛び出した時、子どもから歓声が上がった」など、嬉しい反応を得ることができました。

今まで、エプロンシアターのテーマは、主に外国の名作童話や日本昔ばなしが主でした。創作のおはなしは作家さんのイメージとかけ離れてしまうことも多いので、とても難しく、エプロンシアターにできませんでした。

生前のやなせたかし先生とは、直接お会いしたことはありませんが、たぶん、アンパンマンは、いろいろな形で、子どもたちの傍に飛んで行って欲しいと思っておられた方なので、エプロンシアターにすることも快くOKしてくださったのだと思っています。

「やなせ先生に、感謝!」です。

乳幼児教育研究所とエプロンシアター

乳幼児教育研究所は、初めは小さな研究会でした。

阿部直美とは、「自分の作った手遊びをこんなふうに使って欲しい」と、直接保育者に伝えたい思いで卒業生などを中心に研究会を始めました。また、創作活動の中で、保育の経験と合わせて、1つのおはなしを核にして絵本を読み、さらにエプロンシアターを見てイメージを広げ、劇的な活動へと自然に発展することを考えました。

これが流れのある保育として、絵本からオペレッタへという活動になりました。

毎年夏のセミナーでは、新作のエプロンシアターとオペレッタで講座を開いています。自分たちの作品を教材として活用する講習会です。

セミナーについては、乳幼児教育研究所のホームページにアクセスしてご覧ください。

「エプロンシアター・ポケットの会」

エプロンシアターが知られるようになり、各地の講習会で実演できる機会が増えましたが、多くは、エプロンシアターを紹介することが中心でした。ところが、エプロンシアターをずっと研究する中で、エプロンシアターは見ただけでは本当の意味でのエプロンシアターは伝わらないと感じ、是非、実際に演じて理解を深めて欲しいと思うようになりました。

そこで、誰でも気軽に演じ方を学べるように、「演じるテーマのエプロンシアターセット」をお貸しして、演じ方を学ぶ「エプロンシアター・ポケットの会」も開いています。

エプロンシアターは、簡単には「エプロンを舞台にした人形劇です」と紹介されますが、演劇的に表現する要素もあります。興味のある方は一度「エプロンシアター・ポケットの会」にご参加ください。

これからの抱負…

最初から、こうしようと思って始めたわけではありませんが、エプロンシアターがこんなにも多くの人に支えていただいて広まり、愛されていることを思うと、エプロンシアターの産みのお母さんとしては、元気でいる限りその魅力を伝えるのが使命だと思っています。

見るだけでなく、実際に演じることで、エプロンシアターを深く理解することになるので、主宰する「エプロンシアター・ポケットの会」を続けていきたいと思います。

また、お話の会や図書館サークルなど、エプロンシアターの輪は、私が考えていなかった方面にも広がっています。最近は、小児看護学会など看護の現場の方からも「病気の子どもを元気づけるベッドサイドでできるエプロンシアターを教えて欲しい」という声が多く寄せられています。

エプロンシアターで、子どもたちの笑顔が広がればこんなに嬉しいことはありません。エプロンシアターという小さな世界をゆっくりと少しずつ広げたいと思っています。

編集部より

中谷真弓先生 あ・ら・か・る・と

子どもたちに人気のアンパンマン。「そのエプロンシアターを手づくりで…」そんな想いを叶えてくださった中谷先生。『手づくりアンパンマンといっしょ3 エプロンシアター』では、中谷先生の姪のくるみれなさんが型紙作成を手伝ってくださり、アットホームな雰囲気の中で作ることができました。その中で、常に制作にかかわった方たちやモデルさんのことばかりを気遣っていた中谷先生でした。

妖精的なキャラクター設定のアンパンマンは、ストーリー展開が難しく、なかなか企画が通らず悪戦苦闘。完成した時、中谷先生には満面の笑みがこぼれていました。

2014.August(C.S.)

中谷先生の著書から

中谷先生の書籍好評発売中!

私とエプロンシアター

はじめは、エプロンシアターを布おもちゃの1つと考えていましたが、演じるようになってその魅力を強く感じるようになりました。作る楽しさと演じる楽しさを知ってしまって、私が一番のエプロンシアターファンになってしまったようです(笑)。

特に、エプロンシアターは「語る」と「演じる」が一緒になっているので、バイキンマンになった時には、声だけでなく体全体を使ってバイキンマンになりきります。「役になりきるのは、ちょっと恥ずかしい…」と思う方がいるかもしれません。でも、なりきって演じると、見ている子どもたちは、物語の世界と一体になって目を輝かせてエプロンシアターを楽しんでくれます。

その子どもたちの反応が、演じ手をさらに突き動かします。まさに、子どもと一緒に楽しむパフォーマンス! 演じている時の充実感は半端ではありませんよ!

あなたも、是非、一度エプロンシアターの世界をのぞいてみてください。

エプロンシアターの思い出 あんなこと こんなこと・・・

☆ 『ザ・エプロンシアター』

これは3冊目の本でしたが、この本から演じ方のページも全部カラーになってエプロンシアターの楽しさが伝わりやすくなった記念すべき本です。「読者にわかりやすいというのが、ベストです」と、写真を大きく扱い贅沢に作った本です。

☆ 『エプロンシアター ベストセレクション』

それまで、登場人物などの絵は、私が描いて作っていましたが、この本からプロのイラストレーターさんに描いていただくようになって、カラーページにかわいい人形が載るようになりました。素敵な本になって、嬉しかったのを覚えています。

☆ 『手づくりアンパンマンといっしょ3 エプロンシアター』

この時は、人形の顔の版下はイラストレーターのTさん、型紙と作り方は姪、制作は縫製の方にお願いしましたが、出来上がった人形のかわいいこと! アンパンマンの人形は、イラストがシンプルなので布で作った時の再現性が良く、出来栄えが素晴らしくて、撮影が楽しかったですね。

☆ アンパンマンのエプロンシアター・ブーム

『手づくりアンパンマンといっしょ』の本ができて、ほどなく講習会に行った時、「私、先生の本は、ぜーんぶ買って手作りしてます。アンパンマンも、もう作りました!」と、おっしゃる先生がいました。ほかにも、手作り作品を見せてくださる方がたくさんいらっしゃいます。嬉しいですね。

大人気キャラクターだけあって、「アンパンマンが出てきただけで、みんな大喜びです」「いつもは集中しない子も、アンパンマンの言うことはきちんと聞いてくれます」などと、各地で多くの声を聞きます。

「アンパンマンのエプロンシアター・ブーム」の到来です!

→ エプロンシアターの詳細
→ 「編集部ピックアップ」 でも、中谷先生の著書を詳しく紹介しています

編集部より

著書のおすすめPOINT

子どもにとっての「エプロン」は、大好きなお母さんや園の先生のイメージにもつながる、大切な素材。そんな身近なエプロンから、ファンタジーの世界が広がるエプロンシアター。

教材でも、手作りでも、演じ方次第でどんどん世界が広がります。大切なことは、演じる側も子どもたちと共に楽しむことのようですね。

中谷先生の『エプロンシアター』関連著書は、保育を楽しむヒントや子どもたちとのコミュニケーションづくりの一助としてもおすすめします。

2014.August(C.S.)

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