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【保育ナビ】8月号特集 園の研修を考えるヒントが満載! 座談会 Web版記事を公開!(2)

2014/06/21

「保育ナビ」の読者の皆様に向け、本誌と併せてご活用いただくための情報を掲載します。

 

前回に引き続き、8月号特集の座談会で本誌には掲載しきれなかった内容を公開します!

「研修」や「保育の質の向上」に役立つヒントが満載です。ぜひ「保育ナビ」本誌と併せてお読みください!

 

保育ナビ 8月号 特集

座談会 Web版記事 「今、リーダの役割とは」

 

2014年5月、弊社5階ホールで座談会を開催しました。社会福祉法人日本保育協会による研修の実態調査(中間まとめ)をご報告いただき、そこから見えてきた課題をもとに、「園長として研修をどうリードしていくか」という視点で、忌憚なき議論がくり広げられました。

なお、調査結果については、「保育ナビ」2014年8月号の特集記事をご参照ください。
 

  保育ナビ8月号、好評発売中です!

  本記事と併せてご活用ください。

 

 

 

 

 

 

 

◆次なる段階――研修から研究へ

岡先生:
 日常的に話し合いの場をもてるようになった。課題をどうしていこうかとみんなで考えられるようにもなった。そうなってくると、「今日1日の保育をどうしよう」だけではなく、もう少し引いた目線で研究的に保育を考えていこうという営みのほうへシフトしていくと思います。
 東先生の園ではいろいろな研究に取り組まれていますよね。以前、
札幌で研修会を担当した時、先生方が食い入るように真剣に話を聴いてくれたり、質問をしてくれたりしたので、きっと「学ぶことはおもしろい」という循環ができ始めているのだろうと感じました。それには何かきっかけがあるのでしょうか。きっかけはだれが持ち込んでくるのですか。

東先生:
 私であることが多いですね。園長や主任クラスになってくると、自分自身の保育経験から、若い先生にとって今は大変だけど、ここを乗り越えてもう一歩踏み出せば、もっと保育者として成長できるということがわかってきます。そういう俯瞰した視点が、人材育成にはとても大事な気がするんです。
 研究については、新しいことをやるのだから不安もあるし、負担感もある。でも、楽しみでもあるのだと思います。研究に取り組んでみると、それによって新しい保育の可能性が広がることを身をもって実感できるようになりますから、次もやってみようとつながっていくのでしょう。

岡先生:
 岩井先生はいかがですか。まだ園はスタートしたばかりですが、今後どのタイミングで研究的な取り組みをしようという計画があったりするのでしょうか。

岩井先生:
 いつも保育を見ながらですね。その時その時の出会いで、気づいたことをつなげていく感じです。開園からまだ1年半なので、職員に長く勤めてもらうためにも、一緒に考えて保育をつくっていきたいと思っています。今は土台づくりの時期です。保育者それぞれの経験値も違うから、外部の先生から同じ話を聴いたとしても消化の仕方が違います。だから、共有しながら、何を大切にしていくのかを語り合うことをくり返しています。うちではグループワークをよくするんです。そういう時は若い人も自然と言葉が出ます。そんなふうに園全体の学びを重ねていっているところですね。

東先生:
 研究という時に
キーになるのは、私は外部の先生だと思っています。やはり現場では日常のことが大事ですから、現場だけでは研究にまでもっていくのは難しいのではないでしょうか。研究者に園に入っていただき、軌道修正を含めて方向性を一緒に考えていただけることで、研究を根付かせることが可能となると考えています。共同研究ということが、保育の場合はとても大事ですよね。

岩井先生:
 外部の先生に協力をお願いすることは大切ですが、ちょっと気になることもあります。ある区での話ですが、若い園長が職員に意見を言いにくいということがあるようで、園長から言えないことを外部の先生に言ってもらうようにしているそうです。でも、本当は園長自身で伝えるべきことではないでしょうか。園長が「園長の役割」を理解していなかったらチームはまとまらないですし、ましてや子どもを育てているわけですから。

岡先生:
 以前、佐藤学先生(学習院大学)が、オーソリティ(authority;権威)の語源は、オーサー(author;著者)だと言っていて、なるほどと思いました。つまりオーソリティは、「その人が語る」ということに意味があるんです。同じ語源のものに、オーセンティック(authentic;真性の、本物の)があります。
 つまり何が言いたいのかといえば、園長先生が発言する時には「私はこう思う」と伝えることが大事だということです。勝ち負けという尺度だと気後れすることもあるかもしれませんが、そこにこだわるのではなくて、「私はこう思う」「あなたはどう思う?」という問いが出せることが大事だと思うのです。
 ただ、外部から人を呼ぶ場合には、意図的に「外圧」となるようにすることもありますね。そういうケースでは、園長先生が進めていきたい方向性が見えると、外部の研究者も一緒に協力することができます。そこが見えない場合はなかなか厳しいですね。
それと、東先生がおっしゃったように、研究はすぐ明日のことではないので、距離をおくことの必然性があると思います。そのために公開保育をするのも1つですし、研究賞に応募してみるのもいいかもしれません。
 ある程度の経験を積まれた先生方なら、おそらくご自身の保育のレパートリーをストックしたいと思っているのではないでしょうか。子どもがやってみたいと思っている時、どんな材料があり、どんな出し方があるのか。積み木1つとってみても、大きさや形、数によってできる経験の可能性が違うことを知っているということなど……。ベテランの先生方の経験則をまとめることができたら、それは園全体の財産になると思います。こういうことから、研究が始まるのではないかという気がします。


 ポイント 

 ・研究を進めるうえで、外部研究者の協力は必須 

 ・勝ち負けではなく、「私はこう思う」「あなたはどう思うか?」という対話が大事

 ・現場の経験値をまとめ、園全体の財産に

 

 

◆「おもしろがる」=子どもや保育者の育ちに関心を寄せる

岡先生:
 保育者一人ひとりにとって、今考えたいこと、やってみたいことは違っていますよね。気をつけないと、保育者の経験年数や課題意識が異なるなかで、クラスごとに保育が全然違うものになってしまうことがあるのではないでしょうか。一人ひとりの子どもの今を大事にしようとする点では、どれも同じなのですが、具体的なツールとしてはかなり違うことがあります。保護者からすると、どうしてクラスによって違うのかと思うこともあるのではないでしょうか。

東先生:
 そうですね。でも、基本的には現場の保育者は保守的な面のほうが強いように思います。新しいことに挑戦したくても、他のクラスと違うことをしたくないだとか。どちらかといえば安定志向が優勢なのではないでしょうか。むしろ園長や主任といった現場をもっていない人のほうが積極的にアイデアを出したりすることが多いような気がします。

岡先生:
 「ここをこうしたらもっとおもしろくなる」と思ったら、どういう時に伝えますか。

東先生:
 それはそのクラスの子どもたちの様子にもよるし、先生の力量だけではなくタイプにもよるので、その保育者が「どう自分で感じて、考えられるか」ということを大切にします。法則があるわけではないですね。どちらかというとライブで伝えていきます。

岡先生:
 保育者が一人ひとりの子どものことを捉えられているのと同じように、園長先生は保育者を捉えられているということですね。

岩井先生:
 保育者一人ひとりを園長がどう理解しているかというところが、とても大事だと思います。あとは自分も一緒に楽しみながら、発見を共有しながら、共にやっていく感じです。クラスによって保育が違うのは当たり前なので、そこを日常的に保護者に伝えて理解を得ておくことですね。

岡先生:
 子どもを評価する保育者はそこで活動が終わってしまいますよね。そこを「どうやったらできたの」「ここはどうなっているの」と関心を向けると、子どもは次々とアイデアを生み出すじゃないですか。大人だって同じですね。

岩井先生:
 そうなんです。同じです、保育者も。

岡先生:
 多分、「園長がおもしろがる」ということは、子どもや保育者に関心を寄せるということですよね。

岩井先生:
 一緒になっておもしろがるって素敵なこと。保育者がおもしろがっていると、なんだか私も保育園に行きたくなるんですよ、疲れも忘れてね(笑)。明日、園に行ったらこんなこともやってみようかと考えていることで、職員との距離も縮まるし、悩んだ時も対応しやすくなるのだと思います。


 ポイント 

 ・積極的にアイデアを出し、現場を活性化するのはリーダーの役目

 ・「おもしろがる」とは、相手に関心を寄せること、それが保育の基本!

 

 

◆成功例を全体に広げていくために

岡先生:
 調査側からは今までのところをお聞きになって、何かありますか。

今井氏:
 今回の座談会、とても興味深いお話をありがとうございました。先生方が今のようなお話を全国の園に伝えてくだされば、保育業界全体もボトムアップしていくのだと思います。ただ、研修を企画している僕の立場からすると、そういった経験値を個人から剥がしたいという思いがあります。一定以上の質をもって保育を回していく方法を知りたいです。先生方が全国のすべての園をまわることは不可能だと思いますので、どうやったら今日お話してくださったようなことを広めていけるのか、ぜひヒントをいただければと思います。

岩井先生:
 研修メニューは組織で作れますが、日常の保育の中で何を築いていくのか、一番課題となっていることはなんだろうかと考えることは、気持ちの部分だと思います。保育は一人だけが高まればいいというものではありません。みんなが高まらないと保育の質は上がらないのです。それぞれの気持ちの部分をいかにキャッチしてマネジメントしていくかというところが、園長に求められることなのではないかと思います。

岡先生:
 ある意味では、園長は保育者としての専門性の長なんですよね。

東先生:
 運営部分だけわかっていればいいとシャットアウトしてしまうと、そこですべてが終わってしまうのかもしれませんね。意識をもって保育の内容や現状を知ろうとするか、しないか、それだけなのだろうと思います。

岩井先生:
 運営主体の考え方にもよるのかもしれません。園長というポジションを、ただ名前だけでいいとする園も、あるのではないでしょうか。

岡先生:
 特に企業や大きな法人の場合、そういったところもありますね。
 職員とのやり取りの際に、評価するのではなく、関心を寄せること――風土づくりのミーティングファシリテーションの知見は既にいろいろあると思います。それは純粋な保育の力とはまた別の力ですね。
 それとは別に、園内研修を組織化していく方法については、その要素がリストアップされたり、カリキュラムを作ったりしながら、今、みなさん取り組まれている最中なのではないでしょうか。今後、全体的な保育の質向上のためには、マニュアル作りも大切なことですよね。
 先日、ある研修の時に、午睡時のチェックについて、現場の先生から質問があったんです。「チェックの間隔は10分おきと15分おき、どちらがいいのでしょうか」と。それに対して私が信頼している園長先生が、「10分おき、15分おきということではなく、基本的にいつも気にかけています」とにこにこしながら答えていました(笑)。つまり、マニュアルにすることによって10分おきに見るけれど、本当に大事なのは常に子どもの様子を気にかけておくことで、それが保育者の仕事なのだと。でも多分、マニュアルがなければ、うっかり30分間チェックしなかったという失敗も起きるから、仕組みとして10分おきにチェックすることになっている、ということなんですね。そのように、マニュアルやツールを作る部分と、それを崩す部分の両方があるのだろうと思います


 まとめ 

 ◆自園や保育界全体の保育の質を高めていくうえで、園長の役割とは…… 

  ・保育は一人では高まらない。

   個々の職員の気持ちを汲み取ったマネジメントで、みんなが高まる

  ・運営だけと割り切ってしまってはもったいない!

   保育の内容や現状を知ろうとする意識をもつことが質を高める秘訣

  ・園内研修の組織化のためにはマニュアルやツールを作ることも大切

   ・・・しかし、そこで固まらず、

    保育の本質を見据えていくことこそ、リーダーの役割!    

 

 

◆「保育ナビ」8月号本誌では、研修に関する座談会記事に加え、保育園、幼稚園の取り組みの事例と、「保育カンファレンス」についての提案を掲載しています。引き続き本誌をご活用いただき、貴園の保育にお役立てください!

 

(写真撮影/渡辺 悟   構成・文/編集部)

 

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