保育者様へ

フレーベル館のココだけの話

 

HOIKUのYOU歩道 第11回師岡 章先生のあんなこと こんなこと

2014/04/28

第11回目は、白梅学園大学教授の師岡 章(もろおか あきら)先生にご登場願いました。
師岡先生の“保育の遊歩道”には、どんな発見があるのでしょう?
あなたの保育を楽しむために、ご一緒に歩いてみませんか?
“遊歩・優歩・YOU歩”…あなたにとっての道の向こうには、何が見えますか?

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師岡 章先生の「はじめまして物語」
私のプロフィール

私は、1958年、埼玉の県北、岡部村(のち岡部町)で生まれ育ちました。岡部町は、平成の大合併で深谷市となりましたが、現在も周囲は畑が多く田舎の雰囲気が残る町です。行動的な兄とは違い、内向的な子どもでした。

勉強もせず、軟式庭球に明け暮れていた高校時代、幼児教育の重要性を説く本に出合いました。実家を出て、自立したかったこともあり、高校卒業を機に上京し、昼は幼稚園での助手の仕事、夜は専門学校で保育の勉強を始めました。こうした二重生活は都合5年間続き、男性保育者としてようやく常勤職を得たのは24歳の時です。

その後、いくつか保育現場を渡り歩く中、園全体をリードする役割が求められるようになりました。そこで30代後半になり、一度仕事を離れ、東京学芸大学大学院に入学したのです。研究的な視点から保育を捉え直すことは、とても刺激的でした。

大学院修了後は、定期的に保育現場にかかわりつつも、主たるスタンスは「保育研究」や「保育者養成」に変わりました。母校の1つである白梅学園(短期大学・大学)に勤務してからは、より本格的に「保育・幼児教育のあり方を実践的な視点から考える」ことを主にしています。

私の近況…

2012年度より、白梅学園短期大学から白梅学園大学に異動しました。

短期大学時代は、15名前後のゼミ生たちと、遊びを研究テーマにして取り組んできました。年度によっては、就職した後でより役立つ勉強をしようとしたところ、子どもと一緒に遊んでみたいという思いが強くなり、子どもに伝えたい遊びを収集し事典づくりにも挑戦しました。製本し、冊子化した事典は、今も卒業生にとって大切な宝物になっているようです。

大学に異動してからは、初めての卒論指導にも挑戦。苦労もありますが、学生と一緒に保育を研究することは刺激となります。ただ、社会的活動も増えたため、自分の研究は疎かになっているのが現状です…。

反省!

余白の時間の楽しみ

特に誇れるような趣味・特技はありませんが、幼い頃、活発に遊ぶ子どもではなかったので、保育者になった時には、「遊べない」ことが課題となってしまいました。そのため、伝承遊びを中心に、自ら遊ぶことを心がけています。
最近、世界中で剣玉がブームになっているようですから、もう一度、挑戦したいと考えているところです。

また、埼玉出身ということもあり、サッカーJリーグができてから、浦和レッズを応援しています。最近は忙しく、スタジアムまで行けませんが、陰ながら、応援を続けています。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で優勝した時や、クラブワールドカップ出場の際は、授業を終えるとすぐに大学を飛び出し、観戦に行きました。

楽しかったな~!

K君との出会い…

高校卒業後、助手として初めて勤務した幼稚園で出会ったK君(3歳児)が、私の子ども観・保育観の基盤を形づくってくれました。

ちなみにK君は、ほかの保育者から「わがまま放題」と問題児扱いされていたのです。しかし、私には、K君は「遊びたい」という気持ちを素直に表現しているだけのように見えました。要は、K君は園の保育方針に合わない行動を取るため、問題視されていたのだと思うのです。

まだ保育の専門的な勉強を始めていなかった私は、子どもは未熟な存在と思っていましたが、実際には自分の思いをしっかりもつ、一人の人間であることを知りました。しかし、保育の中では、こうした“子どもの思いにきちんと応えていないことが多く存在している”のではないでしょうか?

K君は私に、そうした気づきを促してくれたのです。今でも、「子ども中心の保育を大切にしたい」と考えているのは、K君と出会えたからと言えます。

フレーベル館との出合い…

保育者をしている頃、初めて保育雑誌などに執筆する機会を与えてくれたのがフレーベル館でした。確か、今から25年くらい前のことです。保育を実践するだけではなく、その成果と課題を書いてまとめる。また、多くの人に読んでいただき、批判や助言を受ける。このようなことを繰り返す中で、執筆を通して、文章にまとめるというしんどさよりも、達成感や読んでもらえることによる楽しさの方が大きい仕事だと実感しました。

現在、フレーベル館では、『保育ナビ』の編集委員や『キンダーブック』の食育ページの指導などにも携わっています。保育現場とのつながり、また実践に生かせる研究を心がけるうえでも、大切にしたい仕事の1つとなっています。

『保育ナビ』との出合い…

保育ナビ』では、2013年度まで「食育」に関するコーナーの連載を担っていました。その中では、「考えよう! 栄養士と進める食育のあり方」「栄養士&調理員とともにつくる園の食育」「職員と一緒に。食育講座」「季節と行事 文化を味わう食育」など、多様な角度から保育における食育のあり方を考えてみました。今でも、研究会などでご一緒した保育者から、「連載で紹介された食育実践を振り返るワークシートを、園内研修で活用しています」と言っていただけることがあり、嬉しくなります。

また、『保育ナビ』の2014年度の4月号では、新コーナー「今、気になる最新研究事情」のトップバッターとして登場し、近年のカリキュラム研究の動向を紹介しています。具体的には、教育経営学を基盤とした「カリキュラムマネジメント」論や、脳科学の研究成果を踏まえたカリキュラム開発論などを取り上げました。保育カリキュラムを改善する際、新たな視点を与えてくれる研究だと思います。

保育者へのメッセージ…

今、最も注目されている保育課題は待機児童問題でしょう。政府も『待機児童解消加速化プラン』を策定し、平成27(2015)年度から本格施行される子ども・子育て支援新制度を待たず、その解消を図ろうとしています。

もちろん、保育の量的拡大は大切ですが、質が伴わなければ、子どもの成長・発達を保障することはできません。保護者も安心してわが子を預けることができないでしょう。改めて、保育者は質にこそ注目し、子どものため、保護者のためによりよい保育を提供していきたいものです。自らの資質・能力の向上を図りつつ、努力していきましょう!

保育雑誌などでは、保育の最新情報をタイムリーに取り上げ、保育の質の向上を図るための方策などを提供しています。保育の動向を知る手がかりや実践に役立つ内容が紹介されているので、活用されることをおすすめします。

編集部より

師岡 章先生 あ・ら・か・る・と

師岡先生の研究室を訪ねた日は、桜満開の4月上旬。おりしも、白梅学園の入園式や入学式当日。そのため、大学構内には駐車できず、カメラマンと構内に入った時には、約束の時間(11時)を既に過ぎていたのです。今度は、研究室探しで迷子になっていると…、なんと、目の前のワゴン車から出て来たのは、師岡先生(なぜ、こんな所にいるの?)!

時間が押していたので慌てて撮影の準備を始めると、「まあ、お茶でも…」と、師岡先生。淹れたてのコーヒーをご馳走になりながら、ちょっと、ひと息。限られた時間の中でも、ほっとしたひと時が流れ、予定通りに撮影完了!

「余白の時間の楽しみ」は、師岡先生の笑顔の中に表れていました。

2014.April(C.S.)

師岡 章先生の著書から

師岡先生の書籍好評発売中!

食を育む

総監修/師岡 章

倉田 新・徳永恭子・野村明洋/著

2,000円(本体価格)

私が総監修した本書は、2006年に出版されました。食育が保育課題となり始めた時期、保育の中では先駆けて食育のあり方を示したものです。

理論編と言える「保育における食育実践の進め方」を踏まえ、図版を多用し、実践を具体的に紹介している点が魅力の1つです。また、実践を「農で食を育む」「料理で食を育む」「環境構成で食を育む」「遊びで食を育む」の4パートから幅広く紹介しているところも他書にはない特徴です。
さらに、理論編と実践編の間に心理学を学んだ編集者と協力し、チャートテストやチェックテストを活用した「食育実践方法の選び方」コーナーも設けました。読者がゲーム感覚で自らに合った食育実践が見つかるコーナーとして、大変ユニークな内容になっています。

『食を育む』…あんなこと こんなこと

☆食育の必要性をていねいに読者に伝えたい!

「肥満の増加」や「朝食欠食」など食をめぐる気になる姿をデータで紹介することも心がけました。今後も本書で紹介した現象を最新データで確認し、実態に即した実践を展開して欲しいと思います。

☆単なる実践の紹介だけではつまらない!

実践をホップ・ステップ・ジャンプの3段階に分け、提示することに挑戦しました。例えば、「農で食を育む」であれば、ホップとして「身近な自然に親しもう」、ステップとして「畑で野菜を作ろう」、ジャンプとして「田んぼで米を作ろう」に整理しました。発達過程に沿った実践の展開、実践相互のつながりなどを考えるうえで、きっと参考になるはずです。

→ 「編集部ピックアップ」 でも、師岡先生の著書を詳しく紹介しています

編集部より

著書のおすすめPOINT

『食を育む』は、実態に即した実践を展開するうえで、理論・実践などからアプローチできる内容となり、読者が活用法を選ぶことができます。“食育の必要性”を読者に伝えるために、“単なる実践の紹介”だけではない、役に立つ構成です。

また、目的に合ったヒントが得られるばかりではなく、食育の実践をスッテップ・アップさせることもできる書籍としておすすめします。

2014.April(C.S.)

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