保育者様へ

フレーベル館のココだけの話

 

HOIKUのYOU歩道 第16回 秋田喜代美先生のあんなこと こんなこと

2015/02/25

第16回目は、東京大学大学院教授の秋田喜代美(あきた きよみ)先生にご登場願いました。
秋田先生の“保育の遊歩道”には、どんな発見があるのでしょう?
あなたの保育を楽しむために、ご一緒に歩いてみませんか?
“遊歩・優歩・YOU歩”…あなたにとっての道の向こうには、何が見えますか?

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秋田喜代美先生の「はじめまして物語」
私のプロフィール

私は1957年6月に大阪で生まれました。と言っても、2歳で東京に転居したために大阪の記憶はありません。両親がうぶ声のレコードを作り、いつも誕生日にかけてくれていたため、大阪の日赤病院で生まれたことだけは明確な記憶となりました。

小学校から高校まで国立大附属の一貫校で12年間を過ごしました。ともかく、その学校の外に出たいという思いから、東京大学の文科Ⅲ類に入学しました。文学部社会学科で家族社会学を学びたかったのですが、担当の先生がいなかったことから学問に興味をもてず、ひたすらキャンパスライフをエンジョイしたり、花嫁修業にいそしんでいました。

就職先として、丸の内OLになりたいということで銀行員となりました。人事部研修課に配属になって教育学を学んだことが、現在への関心のはじまりです。銀行を退社後、転勤族の夫について専業主婦をしていました。出産・育児を経て、子どもの発達を学びたくて東京大学の教育学部に再度学士入学、教育心理学の博士課程に進学し、研究者の道を歩み出しました。

幼児教育との出合いは、東京大学に非常勤講師で来られていた無藤隆先生に「幼稚園で行う、かな文字習得の調査の手伝いをしてほしい」と依頼されたのがきっかけです。調査園の板橋富士見幼稚園(東京都)の安見克夫園長先生から「文字調査だけでは子どもの発達はわからないから、うちの園でゆっくり見ながら学んでいきなさいよ」と言っていただきました。園が私の学びの場として与えられ、園内研修に入れていただくようになってから、30年になります。

生け花と草取り

生け花は、高校の時の部活動で学んでから結婚するまで続けていました。そこで師範をいただきましたが、芸の道の学びにふれたことは、熟達や技を考える機会となりました。その後は自分勝手に生けていますが、草花は生活のうるおいや癒し空間と感じています。

あと、草取りが好きです。これは雑草の1本1本が見える命あるものを大事にしたいと思いつつも、抜かざるを得ない心境やその草花の伸びる勢いに、教育をはじめいろいろなことを考える機会となるからです。なかなかゆっくり庭いじりする時間ももてませんが、花屋さんで花を買ってきて玄関に飾るのは、今でも私の楽しみの1つです。私が忙しいと、庭や玄関が荒れてくるので、心のリトマス試験紙と思っています。

保育者の専門性や実践の質研究

私が博士課程1年生の時に、教師教育や学びの共同体の主導者である佐藤学先生が東京大学教育学研究科に着任されました。初年度のゼミを受講したご縁で、教師の専門性研究に目を見開かされ、また、そのゼミでレッジョ・エミリアの保育実践に出合いました。そこから、教師の実践知や学び合い育ち合うコミュニティとして、園の実践のあり方について考えるようになりました。

佐藤先生と協働で行った教師の熟達化研究やドナルド・A・ショーンの反省的実践家の翻訳などから、教師がいかに学ぶかに関心をもつようになりました。その時から現在まで教師の校内研修に参加したり、その日本の授業研究を世界に紹介したりするレッスンスタディにもかかわっています。今では、世界の30か国以上が日本の授業研究の影響を受けています。

保育についても、そこから着想を得て、実践研究や実践知研究を行っています。最近では、プロジェクトのメンバーとともに保育者の実践知研究の1つとして、片付け研究を行ったり、また小学校・中学校の校内研修も数多く参加させていただいていたことが保幼小連携研究においても私が参加する時の強みになって、連携研究や研修のあり方研究につながっています。

子どもと絵本を真ん中にしたコミュニティ創り

我が子への絵本の読み聞かせから、絵本に関心をもちました。毎晩、下の娘と私の読み聞かせ場面を録音し、その時のやりとりを彼女が卒園後に文字記録化して分析しました。その分析が、私の博士学位論文の研究の一部にもなりました。そして、それを読書の発達心理学として本にしました。

絵本との出合いに関心をもっており、調査研究ができるということから、福音館書店の松居直先生にお声をかけていただき、1999年に英国で行われていたブックスタートを日本で行うための立ち上げの理念作成やパイロット調査研究に参加させてもらいました。図書館や保健所、園など縦割り行政の人たちが、みな赤ちゃんと絵本の出合いを願って地域で絆づくりを行っていくという経験から、私はコミュニティ創りについて多くのことを学ばせてもらってきました。

子どもを真ん中にして親子だけではなく、地域の人もまたそれを支援しながら笑顔を担って子どもから学んでいくという姿です。それが保育所や幼稚園、保幼小連携のコミュニティ創りともつながっていますし、地域子育て支援の実践にもなっています。パイロットの1地域から始まった試みは、今では日本の半分以上の地域で行われるまでに広がりました。私自身は、絵本との出合いが子どもがもう1つの新たな自分の世界を生涯創る可能性につながるようにと願って、読書コミュニティ創りの実践にもかかわっています。

影響を受けた人

研究者としての生き方や思想で影響を受けた人は、今までも紹介してきました。私が影響を受けてきたのは、いろいろな園長先生や保育者の方々であり、子どもの姿であるといっても過言ではありません。特に、何シフトもしながら限られたスペースで工夫をしながら保育をされている保育者や、地域の園として保護者から信頼されている園の先生方の姿に一番影響を受けていると思います。

それから、科学研究費やさまざまな財団の支援での共同研究プロジェクトで一緒にやってきたメンバーたちです。私一人ではできないことも、皆で語り合い取り組むからこそ新たなことを創り出せること、いろいろな人が誰一人欠かせない大事な役割を担える関係とあり方を、いろいろなプロジェクトの中で学ばせてもらってきました。その中でのリーダーシップと年上の者の居方を、聖徳大学の小田豊先生から学びました。チーム片付け研究だったり、チーム保育の質研究だったりの仲間です。

また、秋田研究室で学んでくれている院生や卒業生たちこそ、新たな着想を私に示し、保育学の未来を担い希望をつくってくれるという意味で影響を受けたという過去形ではなく、影響を受けている、そして受けていく人たちです。

フレーベル館との出合い…

私が院生だった時に、雑誌で子育て経験を毎月書く機会をいただいたのが、フレーベル館との出合いだったと思います。母親としての私が、下の娘とどのように格闘しているかという子育てエッセーを2年間書かせてもらったのが最初でした。まだ海の者とも山の者ともつかない私に、エッセー執筆の機会をくださったことを感謝しています。

現在では、[保育図書・雑誌編集委員会]のメンバーとしてお世話になっています。そして、『幼児の教育』(日本幼稚園協会発行)において、毎月実践から書きたいことを書く機会をもらい、趣味で考えてきた園のことを書いた絵本について考えるという企画と一緒にして、『くらしの素顔 保育の場の子どもたち』(フレーベル館刊)にまとめ、出版できました。

また、日本保育学会の学会運営にかかわらせていただいているので、学会の『改訂 保育学研究倫理ガイドブック』(日本保育学会編)をはじめ、フレーベル館が日本の保育学の創成と歴史を、出版という形で支えてきてくださったことを、大変有難く思っています。

『保育ナビ』連載について…

2014年度から、保育の質向上のための提案として、月刊保育雑誌『保育ナビ』(フレーベル館刊)に毎月連載しています。実は、いろいろな雑誌などのメディアで毎月4本の連載を引き受け執筆しているので、それぞれの原稿に特徴をもつよう私なりに差異化を試みて書いています。

『保育ナビ』では、園の中堅リーダーや園長先生が園として考えてほしいことを意識して書かせてもらっています。その時に、私が学ばせてもらっておもしろかった実践事例を紹介しつつも、それだけではなく、その実践を最近の国内外の保育思想や動向から意味づけて解釈し書くことで、「ちょっと、こんなことにも目を向けてみませんか?」というつぶやきを紹介しています。

連載は、担当編集のS氏との二人三脚で成立しています。ぜひ、園内研修や職員朝礼などで「こんなことあったよ」と取り上げてもらえると嬉しいです。

→ 『保育ナビ』の詳細

編集部より

秋田喜代美先生 あ・ら・か・る・と

いつもお会いしても、かわいらしい笑顔の秋田先生。会議などの席では、保育論を熱っぽくお話ししてくださいます。

今回の秋田先生のプロフィールから、改めて、いろいろな経験力が人生には必要になるのだと実感。さまざまな角度からの視点は、豊富な経験があるからこそ、より説得力があります。

お子さまとの絵本との話からも、親子のほのぼのとした時間の共有の大切さを感じました。

2015.February(C.S)

秋田喜代美先生の著書から

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くらしの素顔 保育の場の子どもたち

本書には、日々の暮らしの中でどこでも起こる出来事の中に、豊かな経験の質を保障する営みが埋め込まれています。それらを描き出してみたいと考えました。『幼児の教育』(2010年)で毎月連載した内容と取り上げた園の絵本の紹介との2部で構成されています。

絵本の紹介においても、そこから園生活を考えてもらえるようにという思いを込めて選書したつもりです。絵本の解説書や紹介本はたくさんありますが、絵本に絵が描かれた園を通して、子どもの生活と園のあり方を考えるというこれまでにない試みに挑戦してみた本です。絵本好きの皆さまも、ぜひ絵本と保育を考える1つの窓にしていただけたらと願っています。

また本書は、私自身が惚れ込んでいる写真家・篠木眞氏とのコラボの本でもあります。モノトーンの写真の中で、子どもが夢中になったり、かかわっている写真もまたお楽しみいただければ幸いです。

→ 「編集部ピックアップ」 でも、秋田先生の著書を詳しく紹介しています

編集部より

著書のおすすめPOINT

タイトルそのままに、“日常のくらし”にスポットを当て、“豊かな保育の質”を描いた本書には、“園生活のあり方”を考えて行くうえでも、たくさんのヒントが詰まっています。

絵本と保育の関連、写真の中から読み取れる子どもの姿など、秋田先生が読者に伝えたいメッセージが込められた1冊です。

2015.February(C.S)

※幼稚園・保育所関連のお客様につきましては、お近くの小社販売店でもご注文を承っておりますのでお問い合わせください。また、お近くの販売店が不明な場合はフレーベル館 営業推進部(03-5395-6608)までご連絡ください。

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